今月22日の都議会議員選挙、来月20日の参院選を前に、日本版「オルタナ右翼」ともいえるような政党が勢いを増しています。
「アメリカファースト」をまねて「日本ファースト」を合言葉にしていて…
「いいじゃん」と思われがちだったりしますが、彼らの思想や政策、掲げている憲法についての案などをきちんと調べてみると…
アメリカや欧州のオルタナ右翼とか極右政党と類似点が多く…もしかするとそれよりもウルトラ右翼だったりすることがあります。
そして背後に、新宗教やスピリチュアル系(スピ系)団体の影がちらつく場合も。
参政党は、その典型例です。
支持して投票するならば、ネガティブな評判についても調べてから決めないと。
こうした「日本版オルタナ右翼」とも呼べる政党には、とくに男性有権者からの支持が多いように見受けますが…
その主張に、よく聴けば怪しすぎるものが混ざっていたり、科学的根拠が薄い、というよりどう考えても非科学的だったり…
論理的な整合性がないものがかなり入っていても、なぜか多くの人がそこはスルーして…
耳ざわりのいい、一見頼もしい感じのする、扇動的な主張の方に引っ張られてしまう。
そういう人に限って「自分は宗教には関心ない、というより嫌い」なつもりでいたり…
「この科学万能の時代にスピリチュアルとかオカルトとかくだらない」「俺は科学的思考のできる合理主義者だ」などと思っていたりするのです。
なぜか。
それは、彼らが依って立つ宗教的、スピリチュアル的、オカルト的な言説のほとんどが、かつて日本国民全体を巻き込んだ国家的イデオロギーである「国体思想」と…
その根拠であった、戦前戦中の国によって公認された宗教「国家神道」をもとにしたものだからです。
国家神道は宗教として日本人が認識できない宗教です。なぜそうなったのか。
それは敗戦とともに、米軍によって解体、破棄されるはずのものでした。少なくとも、1947年の途中まではその方向で進んでいました。
しかしソ連軍の東アジア侵攻と、毛沢東率いる中国共産党が、蒋介石の国民党を駆逐しつつあった当時の東アジアの政治情勢から「共産化」の波を恐れた米軍は…
戦争までの国家指導者や、国家体制、およびその思想を温存し、それをもって「反共」に協力させる道を選んだのです。
それを歴史の用語で「逆コース」と言ったりします。
敗戦日本を「民主主義」の国に改造する道から引き返し、戦前の社会体制を温存・利用する道を、アメリカの占領軍(GHQ)は選択しました。
そうしていながら、表面的には「民主化」を進めるふりをしました。
ですから、戦前の宗教を基盤にした強力なイデオロギー「国体思想」に染められた日本人は「脱洗脳」されることがないまま、時が過ぎました。
表面的には「国体」の中心であった天皇が「私は神ではない」という「人間宣言」をして、「国体思想」の宗教としての部分は廃されたようにみえました。
しかし、それが逆に良くなかった部分もあるのかもしれません。
宗教的に、国家挙げての(何しろ学校で教えたのですから)事実上の「洗脳」を受けた日本国民は「脱洗脳」を受けないまま放置され…
「国体思想」は、その本質がまぎれもない「宗教」であるという自覚の消えた状態で、日本人の心性の奥深くに潜り込み、温存されたのです。
そして、親から子へ、子から孫へと受け継がれ…
今に至るまで、日本人の精神性の基盤を形作るものになっています。
日本人が今でも、客観的に見ればまぎれもなくスピリチュアルなもので、近代合理主義とは相容れるものではない神社参拝や、そこで行なわれる神事を…
「宗教ではない」「信仰のうちに入らない」「社会的な儀礼」だと言い習わし、実際そう「信じている」のは…
すでに国家神道が「ステルス宗教」として、日本社会と日本人の精神の奥深くまで根を張っているからです。
ステルスである分、自覚的な信仰よりも、ある意味やっかいなものかもしれません。
集団の外から見ればまぎれもない信仰であって、オカルトの範疇に入るものが、内から見ると合理的な行動にしか見えないのですから。
私は、信仰やオカルト・スピリチュアルそのものを全否定しているわけではないです。ただそれがもはや自覚不能なほどに、国民の心性の奥に入り込んだ状態に…
危ういものがある、と指摘したいのです。
その「ご神体」は、現代においては戦前の「天皇」ではもはやなくて、おそらく国家としての「日本」という概念なんだと思いますが。
私の考えでは日本人の間に「宗教アレルギー」のような感覚があるのは、既に精神の中心に、国家宗教「日本教」ともいうべきものがビルトインされているからだと思います。
ある宗教の信者は、その他の教えや思想を絶対に受け入れず、頭から否定するでしょう。それと同じことです。
そうした心性を持つ日本人が作る社会には、国体思想の流れを汲んだ日本教の教えが、地下水脈のように流れています。普段は意識していなくても。
それは戦後の80年近くに渡ってあくまでも地下水脈であったのですが「空白の30年」を経て、日本経済の停滞がもはや隠しきれなくなり…
周りの世界も急激な変化の中にあることが明らかになり、経済不安と、社会的な不満が大衆の心を脅かす時代になったいま…
「右派カルト」的な政党への熱烈な支持として、表面に噴出して来ている気がします。
だから、そうした右派政党がどんな極端な思想や、オカルト的な言説を持ち出しても、もともと日本人の心性のなかにあったステルスな宗教感情が、異常を感知させず…
受け容れられたり、スルーされたりしてしまうのです。
国家主義的な政治的右派の言説だけは「政治的な言動」と言われずに済み…
右派的、国家的権威に基づいた、スピリチュアルでオカルト的な言説と行動だけは大衆から「宗教」とみなされない。
それが故に、右派カルト的政党の無茶苦茶な言説は「普通の日本人」から、異常と思われないのです。
今は、とても危険な状況ですが、仮にそうした「右派カルト」の政党を叩いて力を弱めることができたとしても…
国民の心性の芯の部分に潜在する、国体思想の流れを汲む心情が、別の右派カルト的な集団を求め、それを追いかけさせるように思うのです。
アイデンティティに深く食い込んだ宗教的なものを「脱洗脳」するのが困難を極めることは、よく知られていることです。
それが国を挙げて、社会を挙げてのもので、しかも精神の奥に潜んでいるとなれば、さらにやっかいなものです。
なので、甚大な自然災害で国家機能がマヒするほどの危機にさらされるとか、あるいは戦争で徹底的な敗れ方をして、国家が解体されるとか…
そんなことがない限り、この日本人の心性を変えることは不可能に近いと、私は思っています。
そして戦前の国体(右派の人は、国民体育大会と紛らわしいので「国體」と呼びたがるようですが)思想が、自国を破滅させただけでなく…
広く東アジアと東南アジア、オセアニアに破壊をもたらしたように…
このままだと表層に噴出した、国體思想からの右派カルト思想が、国内外に大きな破壊をもたらす可能性が、非常に高いと思います。
救われる道は、非常に狭く険しいと思います。
世界もまた、騒然として来ています。
とくに日本以外の「宗教イデオロギー」が非常に強い国である、アメリカとイスラエルが、台風の目になりつつあります。
(考えてみたら、ロシアの汎スラブ主義もまた、宗教を基盤とするイデオロギーです)
いくつかの宗教国家と、ステルスからの現在宗教国家・日本が、暴力の渦を巻き起こしそうなその未来の果てに、どんな世の中が待っているのでしょうか。
おまけとして、ChatGPTとの対話篇をまた置いておきます。
昭和の幕開けとともに始まった「国体明徴運動」からの、国体思想の流れ、そして現代への影響についてがテーマになっています。
ご興味がある方だけ、どうぞご覧ください。
ただ途中の「田中英道氏」関係のところは脱線に等しいので、飛ばしていただければと思います。
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