アルファロメオ・ジュリア(2代目)は名車だと思います。
社運をかけて開発した「ジョルジオ」プラットフォームは文字通りの傑作で…
FRのジュリアの、前後の重量配分を5:5にすることに成功しました。
リリース直後には、ニュルブルクリンク北コースで市販セダンとしてのコースレコードを打ち立てたりして、ポテンシャルの高さを証明しました。

何より、アルファがフィアットの傘下に入ってからずっとFF車ばかり作ってきた歴史の中で、久しぶりのFR車でもありました。
セダン=4ドアサルーンの需要が縮小し続ける時代背景にあっては「大ヒット作」にならなかったのは仕方ないですが…
それでもセールス面においては、そのポテンシャルに合った十分な成功を果たすことはできなかったと思います。
そのままモデルとしての寿命が尽きてきてしまって、あと数年後には、次世代の「ジュリア」が出るという噂です。
実力に見合ったセールスを上げることが出来なかった最大の原因は、せっかくモータースポーツのベース車両として最適のポテンシャルがあったのに…
メーカーが「ワークス体制」で、ツーリングカーレースやGTシリーズを戦おうとしなかったこと、これが大きかったと私は思います。
やはりアルファロメオといえば走りの魅力、スポーティーなイメージが一番の売りであって…
モータースポーツの場でそれをアピールしてきたのが、このブランドの歴史だったのですから。
しかし「ジュリア」に関しては、各国でプライベート体制でのレース参加はぽつりぽつりとあったものの…

アルファ156が「ノルドアウト」チームでETCC、WTCCを4連覇したときのような、セミワークス体制を組むチャンスさえありませんでした。
あのころはラリーやDTMで活躍した、アバルトのレーシングチームの人的遺産があったとはいえ…
メーカーとして、本気で人材と資金を投入していれば、モータースポーツの場で華々しい成果を上げてイメージアップをすることができたはずです。
でも、それをしなかった。できなかった。
アルファロメオといっても、単純にフィアットの傘下だったころよりはさらに規模が大きく複雑な「ステランティス」体制の中で…
いくら現場にやる気があっても、お金を動かすのは容易でなかった、というのはあるでしょう。
ステランティスグループとしても、モータースポーツに関心がなかったわけでないのはわかりますが…
「アルファロメオ」ブランドのエンジンという売りで、新興勢力としてひたすらF-1に挑戦し続ける作戦にこだわって、そこに資本を集中してしまいました。
結果は無残な失敗。
どうせアルファの看板を使うのなら、GT選手権などへの参戦で実績を上げたほうが、ずっとよかったのに。
この失敗は致命的でした。
この先、ハイブリッドカーによるレースが中心になろうとしているモータースポーツの世界がどうなるかは不透明です。
ゼロエミッションという掛け声が高まる中で。
モータースポーツのアルファロメオ、という威信をふたたび取り戻す時が、この先果たして来るのかどうか。
ビッショーネの栄光は…
四葉のクローバー=クアドリフォリオのシンボルマークがサーキットを席巻する日は、再びやってくるのか?
そもそも、ポーランド製のアルファしか売れない時代が訪れている中で…
アルファロメオというブランドが、どこまで生き残っていけるのか。
三十数年間アルファロメオ一筋で来た、筋金入りのアルフィスタとして、先行きがとても気がかりです。