アルファと私と小倉唯

愛車アルファロメオと声優小倉唯さんのこと、そして私の日常と考えたこと

売れない国には売れ筋さえも出さない

今日、初めてアルファロメオ・ジュニアの実車を目撃しました。

 

といっても、ディーラーのお店に置いてあるのを遠目に見ただけですけど。

 

 

日本で6月26日に発売となってから2か月余り、公道を走っているところを見なかったのは、やはりこれも売れ行きがいまいちだからなのでしょう。

 

 

欧州では2024年4月にデビューしてすぐにアルファブランドで一番の、そして唯一の売れ筋モデルとなったのに、日本と米国でだけ、販売されていなかったジュニア。

 

アルファブランドが、というよりも、イタリアブランドの車自体の売れ行きが極端に悪いこの両国のマーケット。

 

ステランティスグループの「売れない国には、あえて売れ筋商品も出さない」という方針に沿ってのことだったのでしょうか。

 

どうせ何を出したって売れない…みたいな。

 

まあ、いまさら売れはしないと私も思いますし、案の定というべきか、売れてないみたいですけど。

 

よく日本のウヨの人たちが「反日」という言葉を使いますけど…

 

日米はアンチイタリアの「反伊」的な国みたいに、少なくともステランティス社からは思われてるかも。

 

イタリア人一般は、親日的、かつ親米的な人が多いんですけれどね。でも両国からは(主にオヤジ層から)バカにされている片思いの関係。

 

私みたいな「親伊」的な日本人からすると、悲しいですね。

 

同じように「反日」と日本のウヨが思っている国にも、すごく日本びいきの人はいるわけで。〇〇人は親日、△△人は反日、と…

 

でかい主語でまとめて認識することしかできない、頭の構造が単純すぎる、バカにはわからないでしょうけど。

 

 

 

それはそうとして「売れない国には売れ筋商品さえも出さない」という、あまりに極端なステランティスの方針は、対米・対日の販売戦略だけに限らないようです。

 

たとえば、フィアット・ファストバック…

 

 

アバルト・パルス…

 

 

こういう売れそうなSUVでさえ、イタリア車ブランドの車が一番人気のある南米市場でだけ売り出して…

 

売れる、という確信を得てから、おひざ元の欧州で販売し始めているぐらいですから。

 

ちなみにブラジルでは、世界のすべての自動車ブランドの中で、フィアットが販売台数1位を長らく続けて占めている、というぐらいの人気です。

 

ブラジルだけで、人口が約2億2千万人というかなり大きなマーケット。

 

南米での販売がなかったら、アルファロメオランチアも既にブランド消滅の憂き目に遭い、フィアットいすゞと同じく、商用車専門になっていたかも。

 

フェラーリランボルギーニ、マセラーティはまた別のステイタスがありますけど)

 

ともあれ「作って、出して、売れない」ということだけは避けたいのか。

 

それとも実質的に受注販売的な売り方をしているのか。

 

そんな風なので今後も日本のイタリア車ファンは、魅力的なモデルを、指をくわえてみているだけ、ということになりそうな感じ。

 

もっとも、イタリア車と言っても、このブログで何度も書いているように「イタリア人がイタリアで作った車」では、もはやないのですけれど。

 

話題のジュニアは、全台数がポーランド工場で生産されているものですし…

 

これからフィアットが主力商品として推したい、新型グランデパンダなどは、北アフリカのモロッコ工場で生産する予定です。

 

それで、本社がオランダのアムステルダムなんだから、どこが「イタリア車」なのか、という話にはなるのですが。

 

でも、どこの国の出身の人間が、どこの国で企画し、設計し、生産し、販売戦略をたてようと関係なく…

 

「イタリア車」というイメージだけで、日米のユーザーは、今後も買うことを敬遠し続けるでしょう。

 

だから、ステランティス首脳陣の「見込み」は、あながち的外れではない、ともいえるでしょうね。

 

イタリアブランドで、超高級車や、スーパーカーハイパーカー以外の車で、世界中でイタリア製であることを保証する車を手に入れたいなら…

 

カロッツェリア=独立系コーチビルダーが独自に架装したボディの車を選ぶしかない。

 

たとえば、こういうもの。

 

 

これはフィアット・ドゥカートという大型バンを、ミラノと同じロンバルディア州の、クレモーナ郊外にある「カゼラーニ」というカロッツェリアが…

 

シトロエンのバンをレトロ風に架装した車で知られています)

 

改造架装して売っている「616N」というモデルです。

 

ちなみにフィアット・ドゥカートは、欧州市場全体で、中型商用車の70%ものシェアを占めているという、メガヒット商品。

 

(働くクルマ、実用車としてこれほどのシェアを誇るのを見れば、フィアット=イタリアブランドの車が、欧州車の中で「特別壊れやすい」というのが偏見だとわかります)

 

ヨーロッパでは定番のドゥカートを、レトロにかわいらしく改造した616Nも順調な売れ行きのようです。

 

クラシックでおしゃれなフードトラック、キッチンカー、冷凍車、ユーティリティバン、果てはレッカー車として、応用されているようです。

 

ちなみに、デザインのモデルとなったのがこちら。

 



1952年から1966年まで、戦後イタリアの「高度経済成長時代」(がイタリアにもあったんです)を支えた多目的バン、フィアット615、616です。

 

うまく現代風にトランスレートされていると思います。

 

もしも日本で販売したら、かわいらしく塗装してキッチンカーに、あるいはキャンピングカーとして売れるんじゃないかと思いますが…

 

 

正規輸入される見込みは、ほぼゼロですね。個人で並行輸入されたら、ぜひ見てみたいですけど。

 

まあ、人間の固定観念というのを改めること、定着してしまった偏見を改めることがいかに困難かはよくわかるので…

 

今後、イタリアブランドの車(「イタリア車」ではなくても)が日本で人気になることは、まあ私が生きている間はないでしょうね。

 

アルファ156が世紀の変わり目ごろ、日本で多少なりとも売れて、テレビCMにまで登場したのは…

 

一瞬の奇跡であったのでしょう。